規模の拡大を続けるコンピュータシステムは、複数コンピュータとネットワーク接続による分散肥大化の結果、保守の課題を高めました。
一方でCPUは数十倍~数百倍の性能を持ちました。特にマルチコアアーキテクチャCPUは処理性能が単純に倍加しています。これに伴いアプリケーションの設計変更でCPU性能を最大限活用するシステムコンパクト化の手法もありますが、現実のところアプリケーションの性質や機能に応じてOSが異なることから、一概にコンピュータを集約できないこともあります。

仮想化技術(バーチャライゼーション)は、この問題の有力なソリューションとして登場し、情報処理では広く爆発的に普及しました。 ところが、機械計測制御分野で使用されるRTOSと仮想化技術を結びつけるには隔たりがあります。リアルタイム性確保の課題です。仮想化でプラットフォームの集約を実現できても、肝心のリアルタイム性能が損なわれるジレンマがあるため、採用に至らないのが現状です


TenAsys®のリアルタイム仮想化技術


機械計測制御システムに向けた「リアルタイム仮想化技術」によるソリューションをご提案します。

TenAsys®のリアルタイムOS製品"INtime®"で養われた非対称型マルチプロセッシング(AMP)処理技術は、CPUコアごとのOS割当機構により、1つのコンピュータ内にWindowsとRTOSの共生を実現し、異なるOSの完全な非同期動作を達成しました。Windowsの性能を損なうことがなく、逆にWindowsがリアルタイム性能に悪影響を与えることがない、的確なリアルタイムソリューションです。 
>>INtime®



TenAsys®はこの時既に、メモリ領域の共有(共有メモリ)や、同期オブジェクトによる、OSを跨いだ超高速なプロセス間通信技術を確立しています。

TenAsys® eVM® (embedded Virtual Mchine)



TenAsys® eVM®は、TenAsys®が確立した技術を応用することで開発された、プラットフォーム仮想化ソフトウェア製品であり、プラットフォーム仮想化後もRTOSの性能を持続できること、Windowsが使用できることが特徴です。



1. すべてのRTOSをゲストとして迎え入れる

eVM®は、代表的RTOSから、古くはMS-DOS、お客様自身で製作されたRTOSまで、x86プラットフォームで稼働するさまざまなOSを、1台のWindowsコンピュータに集約し、Windosと共に動作させます。

TenAsys®のAMP技術では、その構造から全てのWindowsバージョンと、理論上全てのOS、未知なOSに至るまで、リアルタイム性能を保ちながらの同時動作を特別な対応無しに実現します。(完全仮想化)
  • VxWorks
  • QNX
  • iTRON
  • Linux
  • WindowsCE
  • MS-DOS
  • お客様独自のRTOS


eVM®のソリューションでは、Windowsシステムにも特別なカスタマイズを必要としません。このため将来のWindowsバージョンに対してもスピーディな対応をお約束できます。



2. OS間プロセス通信が可能

eVM®は、RTOS組み込みアプリケーションとWindowsアプリケーションをコミュニケーションさせるチャネルを持っています。

これによってWindows環境のGUIプロセスと、RTOS環境の制御プロセスを1台のコンピュータ内に構成できるうえ、互いに情報伝達が可能です。


たとえば、WindowsベースのHMIソフトウェアと接続して、オペレーション画面をプログラムレスに製作できます。
>>ACTIVE TOUCH




3. ベストパフォーマンスと保護機能

eVM®によるプラットフォーム仮想化は、ハイパーバイザとは異なるアプローチです。ハイパーバイザ特有の慢性的オーバーヘッドを伴いません。それでいてCPUネイティブコードによるダイレクトなメモリアクセスと、ダイレクトなI/Oが実現できるため、ソフトウェアもハードウェアもパフォーマンスは最大限まで活用されます。 一方でWindowsプロセスの不正処理や、WindowsのクラッシュなどがゲストOSを損傷することがないよう、CPUの保護機能によって守られています。



4. 旧式のI/Oデバイスを最新鋭のI/Oデバイスにリダイレクト

eVM®は、ISAバスなど旧式な拡張I/OデバイスへのI/Oアクセスを、PCIデバイスへのアクセスにリダイレクトできます。これによって大きな筐体を持っていたコンピュータを、コンパクトで安価な最新鋭コンピュータに変更できます。



5. ダイレクトハードウェアアクセスによる時間保証

eVM®は、ハードウェアI/Oやハードウェア割込みに対する時間保証を実現するために、ゲストOSのネイティブドライバによる、実ハードウェアへのダイレクトアクセス(メモリアクセス、デバイスI/O)を許可します。


これは実ハードウェアの利用権をWindowsと排他的にすることで実現されています。


6. 適合するWindowsバージョン

  • Windowx XP
  • Windows Vista
  • Windows Embedded
  • Windows Server 2003
  • Windows Server 2008


7. Windows上で動作するVMMコンフィギュレーションツール
  • I/Oデバイスの割付
  • RAMサイズの指定
  • 仮想I/Oデバイスの追加
  • ブートイメージの構築

8. 豊富な仮想デバイス
  • TenAsys® virtual BIOS
  • 仮想8259 PIC x2 (割込みコントローラ)
  • 仮想8254 PIT(インターバルタイマコントローラ)
  • 仮想IDEコントローラ x2
    • 仮想HDD
    • 仮想CD-ROM
  • 仮想 4スロット PCIバス(8スロットまで拡張可)
  • 仮想FDD x 2
  • 仮想Ethernet(NE2000)
  • TenAsys® VirtualEthernet Adapter(Windows側仮想NIC)
  • 仮想COMインターフェース x 4


9. Windowsファイルシステムによるブートイメージのダイレクトアクセス
  • HDDブート
  • CD-ROMブート
  • フロッピーディスクブート

システム要件


  • Microsoft Windowsが動作する VT-x対応マルチコアプロセッサ・プラットフォーム

    デュアルコア、クアッドコアCPUとVTを認識できるBIOSを搭載したPC互換システム
    Microsoft Windows Vista, Windows XP, Windows Embedded, Windows Server 2003, Windows Server 2008

  • PCブート可能な組み込みOSイメージ

    CD-ROM、ハードディスク、フロッピーディスク、または他のBOM-BIOS(INT13H)によるブートが可能なデバイス
    ROMベースの組み込みOS製品をご使用の場合は製造元にご相談ください

  • ヘッドレスなゲストOSとアプリケーション
シリアルコンソールI/Oをサポートしたテキストベースの組み込みOSとアプリケーション
現在のところキーボード、マウス、ビデオデバイスはMicrosoft Windows専用にアサインされます

eVM®商品紹介ビデオ



カタログ

eVM®Datasheet.pdf(カタログページへ) ・・・ eVM®カタログ(英文)
evm.php ・・・ eVM®の説明(英文)

※TenAsys®, INtime®, eVM® and iRMX® are registered trademarks in USA of the TenAsys Corporation.