1. 株式会社マイクロネットの紹介
株式会社マイクロネット(本社:茨城県神栖市、代表取締役社長:山崎郁太郎)は、Windows向けHMIソフトウェアパッケージ「ACTIVE TOUCH」(アクティブ・タッチ)Ver.5を発売した。
当社は平成元年の創立以来、一貫して工業用PC向けにリアルタイム制御ソフトウェアの開発・販売と、リアルタイム計測制御ソリューションの提案を行っている。主要製品である32ビットRTOS「INtime」(インタイム)は、単独のWindowsには実現の難しい、実時間に忠実な計測制御処理(リアルタイム処理)を可能にする、Windows用リアルタイム拡張ソフトウェアであり、従来、ボードコンピュータやPLCで行われていた計測制御をHMI標準装備のPCベースコントローラへ代替するソリューションとして国内外問わず応用が進められている。

2. ACTIVE TOUCHの特長
昨今のPA/FA分野では、現場オペレータに対して装置や設備の状態をできるだけ詳細に、かつリアルタイムに伝えることや、柔軟な操作性、パラメータの変更機能などの装備が求められており、もはや液晶ディスプレイのHMI(Human-Machine-Interface)が欠かせない。

ACTIVE TOUCHは、もともと株式会社コンテック(www.contec.co.jp)が製造・販売する液晶タッチパネルを備えたプログラマブル表示器。 最大800x600ドット、65,536色の表現力を持ち、ステレオサウンド出力、RS-232C/Ethernetポートによる主要メーカのPLC接続のほか、同社の省配線I/Oシステム(F&eITシリーズ)に対応するなど、豊富な標準機能をもって様々な用途へ対応できる製品である。

PLC計装にはプログラマブル表示器が良く採用される。一方で桁違いの処理能力と入手のしやすさ、それと豊富な標準機能の備わるWindows搭載PCを採用するケースも増えている。 工業用途にPCが応用されはじめた背景として、グローバルスタンダードと言えるWindowsの影響は大きい。

今回発売したACTIVE TOUCH Ver.5は、同ソフトウェアをWindowsコンピュータ向けパッケージとして移植すると共に、当社で培ってきたPCベースリアルタイム計測制御ソリューションを活用いただけるように、独自の機能強化が加えられた。WindowsベースによるHMI開発・実装で効率化を図るだけでなく、複数メーカのPLC同時接続サポート、Windowsと同居できるRTOS「INtime」との親和性、同じくWindowsと同居できるソフトウェアPLCとの連携、その他Windowsアプリケーションとの接続まで考慮されている。 PLCと比べれば決して安価と言えないPCを単なるHMI利用目的にとどめることなく、その高い性能をシステム開発者のアイディア次第で最大限活用できるよう、トータルソリューションとして仕上げた製品である。

○ ACTIVE TOUCHの開発環境
ACTIVE TOUCHの製品体系は、HMI画面編集と実行を行うエディタ(ACTIVETOUCH-SDK)と、再編集機能を持たないビュアー(ACTIVETOUCH-RT)の2部で構成される。 プロジェクトで取り扱えるデータ点数(タグ数)には制限が設けられておらず、シンプルでわかりやすい製品価格体系としている。
ACTIVE TOUCHのHMI画面開発は、2つの異なるCPUをクロス接続して進めるプログラマブル表示器の体系と異なり、1つのCPUにおけるセルフ開発となる。 これは開発環境、実行環境共に統一プラットフォームWindowsであるためで、コンパイルやダウンロードの必要なく即実行できるなど開発手順がシンプルとなる分、そもそもの開発効率が高いのである。

エディタ(ACTIVETOUCH-SDK)で行うHMI画面開発の流れは、

(1)ランプやスイッチなどの表示部品を配置
(2)デバイスとのデータリンク
(3)実行 の最短3ステップである。



まず、表示用部品(ランプ、トレンドグラフなど)、出力用部品(ボタン、スイッチ、ボリュームなど)、データ格納用部品(ロギングなど)の標準表示コントロールは、二十数種類用意されている。 これら表示コントロールをドラッグ&ドロップ操作でHMI画面にレイアウトし、プロパティ設定を変更すれば色や形、動作のカスタマイズができる。

次に、レイアウトされた表示コントロールで表現したい数値や状態の指定は、デバイスの関連づけ(データリンク)作業にて行う。 これも表示コントロールのプロパティ設定で、データツリーウインドウから目的のデータ項目を選択すればよい。このデータツリーウインドウはPLC機器などから参照できるデータ項目を列挙している。

以上のようにプログラミングせず作れるHMI画面は、いつでも実行可能である。ACTIVE TOUCHは、このような技術をもって計測・監視システムのHMI開発期間を大幅に短縮する。

○ ACTIVE TOUCHと対応機器
ACTIVE TOUCHが対応するPLCは、三菱電機MELSEC-Qシリーズや、オムロンCS1シリーズ、横河電機FA-M3シリーズ、シーメンス、ロックウェル社製など。これらを複数混成で接続可能としている。

 メーカー  シリーズ  通信形態  プロトコル
 三菱電機  MELSEC-Q Ethernet  3E Frame、ASCII
 RS-232C / RS-422  4C Frame、形式4
 MELSEC-QmA  Ethernet  3E Frame、ASCII
 RS-232C / RS-422  4C Frame、形式4
 MELSEC-A  Ethernet  1E Frame、ASCII
 RS-232C / RS-422  1C Farme、形式4
 MELSEC-FX  RS-232C / RS-485  1C Farme、形式4
 オムロン  CS1  Ethernet  FINSコマンド
 RS-232C / RS-422  FINSコマンド
 CJ1  Ethernet  FINSコマンド
 RS-232C / RS-422  FINSコマンド
 シーメンス  SIMATIC S7-300  RS-232C / RS-422  RK512 Computer Connection
 SIMATIC S7-400  RS-232C / RS-422  RK512 Computer Connection
 三菱電機   FA-M3  RS-232C / RS-422  パソコンリンクコマンド、ASCII
 Ethernet  パソコンリンクコマンド、ASCII
 ロックウェル  Compact Logix  RS-232C  DF1プロトコル PLC5コマンド
 マイクロネット  INplc  内部メモリ  -

 他にも、RS-232CやEthernet通信による未知のデバイスも通信プロトコルのユーザ定義により柔軟な対応が可能であるし、OPC対応機器もサポートされている。


3. Ver.5の特長 Windows
PCを使用するACTIVE TOUCHは、プログラム表示器で実現の難しい機能が標準として備わるアドバンテージがある。 サウンドデバイスとCODECがWindowsに標準装備されているため音声ガイダンスや、アラーム音の発声、マルチメディア再生になどよる多彩な情報伝達が可能であることや、Windows向けに市販されているさまざまな周辺デバイスの利用、たとえば市販USB接続プリンタやネットワーク接続プリンタに実行画面の印刷(ハードコピー)が行えること、ネットワークカメラや、バーコードリーダ、インターネット網の利用など、極めて柔軟に機能の応用が可能である。

ネットワーク機能も充実している。同じネットワーク上に動作する複数のACTIVE TOUCHは、互いにデータを連携、共有する能力があり、二重化など冗長な構成も容易いのである。

同じコンピュータ内で動作するWindowsアプリケーションなどソフトウェアとの接続性についても熟考された。ソフトウェアとのインターフェースで最も高速な手段はメインメモリである。 メインメモリを共有すれば、通信プロトコルなどのオーバーヘッドを一切取り除いた最速のインターフェースが提供できる。 このような結論から、ACTIVE TOUCHには共有メモリ空間を取り扱うためのコンポーネントが標準添付されている。

○ ACTIVE TOUCHと性能
PCはグラフィック描画能力を高めるグラフィックアクセラレータ(GPU)を標準的に搭載しているばかりでなく、CPUもプログラム表示器と比較した場合に数十~数百倍の高速性を備えている。 このため高精細でありながら極めてスムーズな表示更新を提供できるのである。利用できるメモリ量も桁違いであるから、同時に表現できるデータ量はほぼ無制限と考えて問題ない。 高解像度のHMI画面に複雑なシステム全体を詳細・忠実に再現できることは、システム開発者に仕様的な制限を与えない、と言って良いだろう。


4. アプリケーション
ACTIVE TOUCHはWindowsで動作する様々なソフトウェアと組み合わせができる。このため可能性は無限大である。ACTIVE TOUCHを使ったアプリケーション事例をご紹介する。

○ PLCエンジン「INplc」とACTIVE TOUCHの組み合わせ
Windowsと並列動作できる特長のある「INplc」製品は、世界的にも実績があるIEC61131-3準拠のソフトウェアPLCエンジンである。


ACTIVE TOUCHとINplcの組み合わせによって、HMIとPLCは1台のWindowsコンピュータ上に実現できる。 このとき、シーケンス制御はPCのギガヘルツ級CPUで動作するため、市販PLCの10倍を超えた処理能力を発揮する。 このソリューションは実際に株式会社コンテック(www.contec.co.jp)から「パソコンPLC」コントローラとして製品化されている。

○ Windowsに導入できるRTOS「INtime」とACTIVE TOUCHの組み合わせ
Windowsと並列動作する特長を持ったリアルタイムOS(RTOS)「INtime」は、単独のWindowsやLinux、LabVIEW、PLC等では実現できない100usec周期(1万分の1秒周期)に駆動するアプリケーションをハードウェア増設なしに実現する。INtimeのリアルタイム計測制御処理はMicrosoft VisualStudio統合開発環境を使用しC/C++言語で記述できる。 もともとINtimeはGUI機能を持っておらず、独自に開発するWindowsアプリケーションで実現するコンセプトになっているが、ここにACTIVETOUCHを使用できて、シミュレータや測定器など豊富な応用が見込める。

 
化学プラント
 
シミュレータ
 
操作端末
 
施設監視
 
データロガー
 
CNC制御画面

5. 今後の展望と課題
ACTIVE TOUCHはあくまでもHMIソフトウェアである。データロギング機能を備え持つが、これはSCADAのような時間粒度で大量のデータサンプリングや解析を行えるわけではない。 一方、当社が取り組むINtime RTOSによって100usec単位のサンプリングなど実時間に正確なサンプリングはPCで技術的に可能である。 Windowsには高度なデータベースを構築できるし、PCを主コントローラとして応用することは不可能でない。

前述のようにACTIVETOUCHは同一コンピュータ内のINtime RTOSなどソフトウェアを接続する手段も装備したが、ソフトウェア技術を持たない方々が単独した計測・制御装置として応用するには技術習得面でまだ敷居が高い。 ACTIVE TOUCHの次ステップとしては、誰もが簡単に、汎用的にINtime RTOSの技術を応用できる、リアルタイムSCADAエンジンのようなオプションを考えてゆきたい。